2017.08.11

DMOと着地型旅行

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ある方のブログにDMOとDMCについて非常に詳しく書かれていました。


ちょうど先日職場である同僚が、

 DMOはマネジメントのこと
 DMCはマーケティングのこと

というのは正しくないですよね、と聞かれたので、正しいか正しくないかの前に、そもそもそのシンプルな説明はなに、という感じです。。

日本でDMOとDMCが混乱して語られている状況の原因が、「着地型旅行」にある、という指摘もあるようですが、たしかにそれも一理ありますが、もっとシンプルな理由もあるような気がしています。
つまり観光協会は観光協会のままでもいいのに、それを言い換えて、あるいはそれとは別にDMOといったり日本型DMOといってしまったから、というのは理由になりませんか。

もちろん、わざわざ日本型DMOと呼ぶ理由があるからそうなるのはよく理解できます。
でもできるだけことはシンプルにしたいです。


観光協会をもっと進化させて、観光地をマーケティングする組織にする。


こんな感じでいかがでしょう。


その一環で、着地型旅行を作って売ったり、地域のツアーを紹介したりする、それによって旅行客に価値を提供するのです。


もちろん、マーケティングするってなあに、地域のことは考えなくていいの、という話も出てきますが、そのほかにも中小企業育成や、人材育成、持続可能な形での観光の実現、などなど、そもそもやらなければならないことはもっとたくさんあります。それを全部ひっくるめて表現すれば、まあこんな感じでいいのではないでしょうか。


大事なことは、名前がなんにせよ、観光客が持続的に来て、観光が地域で適切に管理され、地域が潤い、観光客やかかわった事業者もハッピーになる、そういうことかと思います。

みなで知恵を出して、観光と地域を発展させていきたいですね。

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2017.04.30

弱いつながりと観光の新しい意義

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弱いつながりWeak tie は観光経験にこそあてはまる、とおもっていたら、東浩紀が似たようなことを書いている、という話。


弱いつながりWeak tie という考え方を知ったのはもうずいぶん前のことです。

アメリカの社会学者グラノヴェッターの研究で知られ、最先端のネットワーク理論でも参照される理論なのですが、かなり簡略に説明すれば、家族や会社の同僚といった、強いつながりを持った仲間からよりも、普段はあまりおつきあいの少ない知人とのネットワークのほうが、ある側面では、(例えば就職の情報など)有益な情報が得られる、といったことです。


毎日のように会っている人とは、一緒にいる環境が似通っているので共有する情報も多くなります。一方普段あまり会わない、社会的なつながりの弱い人からは、まったく自分が知らなかった世界の情報を聞くことができます。

東浩紀は、ずっと一緒にいる村人と、自分探しをする旅人の、その間に観光客を位置づけていました。(「弱いつながり」(2014))。観光を偶然の出会いを探す場とし、ある意味、その無責任な立ち位置をポジティブにとらえています。

ネットは人間関係や得られる情報を固定化する、というのも彼の主張。これはネットは人間関係を薄くする、という一般的な感覚とは逆の発想です。SNSでは昔の知り合いと別れることなくつながりつづけ、検索をすれば、自分の検索履歴から興味を絞り込み、意外性のある答えではなく、その人にあった検索結果を表示します。検索ワードを増やそうと思ったら、意識してそこから離れる必要があります。


一方、旅先で出会う人はすべて想定外。そこで得られる情報は予定していないことばかりです。
そうして自分の世界がひろがっていく。東的に言えば、「グーグルが予測できない言葉を手に入れよ!」。

旅が大衆化し、冒険家でなくても「秘境」に行けるようになった時代、観光の新しい意義が提案されることに、観光の新たな可能性を感じたGW前半でした。


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2017.03.12

DMOとDMCの定義

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DMO、DMCの定義について、今回はコンベンション・インダストリー・カウンシル(CIC)による定義を見てみることにしましょう。


CICはアメリカ・バージニア州に本部を置く、会議、コンベンション、展示会の専門家を代表する組織団体です。その設立は1949年と古く、今でこそ日本では「MICE」(会議、報奨旅行、コンベンション、展示会・イベント)という言葉が知られるようになりましたが、ミーティングビジネス自体は、すでに70年の歴史があるわけです。


CICでは、Certified Meeting Professional (CMP) という、ミーティングビジネス業界でこれを知らなかったらもぐりともいえるほど有名な資格を認定しています。CMPは会議、コンベンション、展示会のプロフェッショナルであることの証です。


CMPの認定は、業務で普段からミーティングビジネスに携わる人にとっても難しい試験をパスしなければならず、そのための講習会も開催されています。


そのCMP取得のための講習会の教科書が手元にあります。


その一つに業界用語集があり、DMOとDMCが掲載されていますのでご紹介しましょう。


Destination Management Company (DMC):

地域に関する知識や見解、資源を有し、専門的なサービスを提供する会社。イベントや、アクティビティ、ツアー、輸送、ロジスティクスのプログラムのデザインや実践などを専門的に行う。


Destination Marketing Organisation(DMO):

観光・旅行を通じて、地域社会の経済的発展を促進する、法人組織または非営利団体、地方自治体等の組織のこと。(後略)

Convention Industry council
Industry Glossary
2016 Edition より

この定義はとてもシンプルでわかりやすいです。


DMCは、会議やイベントで必要となる様々な要素をアレンジする会社です。それだけで、自ずと、地域そのものの経済発展を目指そうとする団体とは、その目的で一線を画します。


通常は、DMOとDMCが役割分担をしてデスティネーションの強みを形成します。


ただし、DMOの中には自らDMCの機能を持つ組織も時々あります。

例えば世界の経済を語り合うダボス会議が開催されることで有名な、スイスのダボスにあるコンベンションビューローは(DMOといってもいいです)自らダボス会議をアレンジしています。


DMOが経済的に自立しようとしたら、デスティネーションとしての特性にもよりますが、DMOを機能として持つことはにありうるかもしれませんね。

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2017.03.05

ヘルシンキでAirbnb2

Airbnb利用の実際をもう少し詳し記載しましょう。

Helsinki_station


今回は「まるまる貸し切り」プランを利用しました。(2016年8月)
まずはチェックイン。鍵の受け渡しは直接会って手渡しで行うこととなりました。
といってもAirbnb上でやり取りをした本人ではなく、彼の指定によりその彼女とアパートで待ち合わせです。


到着日は空港からの移動で正確な時間を伝えることができなかったため、いったんおおまなか時間をお伝えし、ヘルシンキ駅に到着してからショートメッセージでやり取りをしました。

直接会うのであれば、なにか手土産でも持ってくればよかったかな、と少し後悔。
(でも「お土産」という風習はあまりないので気にしなくても大丈夫ではあります)


鍵の使い方、チェックアウトの方法などを簡単に説明いただき、あとは机の上に滞在中の注意事項、チェックアウトの方法などが説明してある文書を読んでね、ということで、すぐにアパートを出ていかれました。


アパートのインテリアはとてもおしゃれ。食器はほとんどがフィンランドデザインのイッタラでした。


部屋には書籍や靴、その他本人がいつも使用しているもんが普通に置いてあります。
生活感も漂います。しかしものすごく整理整頓されています。


すごいのは、天井から「吊り輪」がさがっていること!
Airbnbで過去に利用した人の口コミに「masculine」(男っぽい)とあった理由がわかりました。


アパートはトラムの駅前でとても便利。
スーパーも近くにあります。フィンランドは物価が高いので、毎回外食ではなく、自分で料理ができるのはとても助かります。

コーヒー、紅茶、塩・胡椒、その他調味料は一式常備されていて、というかいつも本人が使用しているものでしょうけれど、自由に使っていいことになっています。

この辺の事情はパリのアパートでも一緒でした。

消耗品はなくなったことを伝えれば補充してくれるのでしょうけれど、すこし気が引けるので、コーヒーは毎日飲むので、自分で調達。


間取りとしては2DK。
リビングとキッチンが続きになっている部屋と、勉強机のある寝室があります。

気になる料金ですが、1泊64ユーロ(約7000円)、Airbnbのサービス料39ユーロ込みで、合計296ユーロ、約3万5千円、1泊9千円弱程度です。

ホテルで言えば、3つ星クラスの価格帯ですね。

ビッグマックが日本の1.5倍する物価ですから、その快適さを考えればかなりお得です。

世界経済のネタ帳より


さて、チェックアウトです。
ごみの捨て方などは説明書の指示通り、アパート住民用のごみ箱までもっていきます。


そして鍵の返却ですが、このアパートはオートロックなので、部屋においていけばいい、とのこと。
またチェックアウト日は次の人はこないので、荷物も午後まで部屋に置いておいてもいい、とのこと。

観光を終えてからアパートまで戻ってくることになりますが、それほど遠くはないので問題はありません。


おかげさまで、すべて順調、快適なヘルシンキ滞在となりました。


さて、問題が一つだけ。といってもAirbnbとはあまり関係はありませんが。

ヘルシンキといえば、サウナ。今回とても楽しみにしていたのですが、実は公衆浴場のようなサウナはあまりないことがわかりました。普通は自宅にあるもので、観光客はホテルに宿泊すれば体験できます。
アパートにはシャワーはありましたが(これはこれで快適)サウナはなかったので、今回は残念ながらサウナ体験を断念しました。

観光客が気軽に使用できるサウナが最近できたとのことですので、今後は楽しみですね。


Airbnbは、チェックイン、チェックアウト、最終日の荷物預けの方法など、アパートによってそれぞれ違いますので、毎回確認する必要がありすこしめんどくさいかもしれません。でもそのやり取りも旅の準備の楽しみのひとつでしょう。


以上ご参考になれば幸いです。


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2017.03.04

ヘルシンキでAirbnb、そして古本屋「アルカディア」

Airbnbを利用してヘルシンキに4泊5日滞在しました。

Helsinki


4泊しますので、キッチン付きのアパートは便利です。
場所は、クリエイティブな人が多く住んでいて最近とても注目されているカッリオ地区です。

http://www.visitfinland.com/ja/kiji/kalliochiku-no-miwakutekina-kodou/


旧市街からはトラムにのっていきます。途中ハカニエミ市場(ここに入っているマリメッコ店舗はとてもおすすめ!)があり、旧市街からは少し離れますがとてもいいところです。


Helsinki_hakaniemi


ヘルシンキはとってもおしゃれな街です。いうまでもなく、マリメッコはフィンランド。マリメッコはとてもフィンランド人に愛されています。

https://www.rurubu.com/overseas/special/finland/marimekko.asp

おとずれたのは、ヘルシンキで有名な古本屋さん「アルカディア」。

Bookshop_helsinki_2

http://www.arkadiabookshop.fi/


アルカディアを紹介しているブログ


壁いっぱいに本が置かれ、地下にもたくさんの本があります。

その日は近所のかたが犬の散歩の途中にアルカディアにたちより、お店の方と雑談をしていました。

Helsinki_bookshop2_2

お店では午後に開催するコンサートの準備をしていました。


本屋さんが地元に根付き、人々の交流の場となり、文化の発信場所となっているのは本当に素敵です。ヘルシンキの、成熟した市民文化を感じます。


とても優雅な時間を過ごせました。


石の教会で有名なテンペリアウオキ教会のすぐ近くにあります。
ぜひヘルシンキにいらっしゃる機会があれば訪れてみてください。


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2017.02.18

デスティネーション(観光地)のマーケティングについて

DMOとマーケティングの続きです。
Lyon2

手元にあるデスティネーションマネジメントに関する書籍を見てみましょう。

Managing the Tourist Destination  Frank Howie、2003年
観光目的地をマネジメントする フランク・ホーウィー著


第4章、「Marketing places」(場所をマーケティングする)(P141-)の冒頭には以下のように書かれています。


ある場所(観光地)の計画、開発、マネジメントがどんなによかったとしても、そもそも観光客が、その観光地に行ってどんな経験をすべきかを知らなかったら、そしてそこが訪れる価値があるところだとおもわなかったら(おもわせることができなかったら)、その場所はただたんに、「潜在的に」観光地になりうる、ということにとどまってしまう。
(中略)

マーケティングは、成功する観光地として、目指すべきことを達成し、そうあり続けるための重要な要素である。

(中略)

マーケティングは、お金と交換できるものに焦点を絞る「販売」とは違い、潜在的な顧客が何であるか、そしてそのニーズを満たすよう、提供する商品サービスを適合させることに関心を持つことである。

(後略)


これらはマーケティングに詳しい方なら当たり前のことではないか、と思われるかもしれません。
しかし、日本では観光地のこととなると、どうしても地域における観光計画や観光地をマネジメントするか、ということが大きく取り上げられ、マーケティングが後回しになるか、最悪観光地のマーケティングについてなにも検討がされない場合も見かけます。

なぜDMOにとって観光地のマーケティングが必要なのか。理屈はシンプルです。知らないところは行こうとも思わない、ということです。人が行かなければ、そこは観光地になりません。

たとえば--。

 オランダにゼーランドというところがあります
 ぜひ来てください

といきなり言われても、行きたいと思いますか。なんだかよくわかりませんね。そこに何があるのか、何ができるのかがわからなければ行ってみたい、という気持ちにはなかなかなりえません。

オランダのお隣りベルギーは美食の国、カキやムール貝がおいしいことで知られていますが、実は多くがオランダ・ゼーランドで養殖されているものがなのです。またベルギーでムール貝レストランに入りますと、いいものであることをアピールするために「ゼーランド産」とうたっていますところもあります。


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そしてゼーランドに行きますとレストランがありそこでムール貝、カキを食べることができます。年に一度お祭りもあります。アムステルダムから車で2時間弱で行ける距離です。


いかがですか。おそらく、ベルギーの美食事情をよく知る方、ムール貝好きな方、おいしいものが好きな方なら、行ってみたくなりませんか。


全く知られていない場所はもちろんのこと、すでに有名な観光地になっているところでさえ、そこに何があり、何が経験できるのかという情報を発信することは非常に重要であり、そしてそれはDMOの大きな役割の一つでもあるのです。

観光地のマーケティングはもっと知られてもいい、観光の発展に必要なノウハウではないかと思っています。

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2016.04.25

パリのAirbnb、そしてHomeAway

Airbnbはいろいろな議論を巻き起こしているようですが、昨年、パリ市で滞在税を課すことを発表して大きなニュースとなりました。課税をする、ということは役所が公式にその存在を認めることにほかなりません。


滞在税が課される都市はほかにどんなところがあるかというと、Airbnbのサイトに紹介されています。

https://www.airbnb.jp/help/article/653/in-what-areas-is-occupancy-tax-collection-and-remittance-by-airbnb-available

欧州ではおひざ元のアムステルダム、そしてシャモニー、リスボン、その他はアメリカは州によっていろいろ、そしてインドが挙げられています(2016年4月24日現在)


パリ市では税金の金額は一人1泊0.83ユーロ、一人約104円程度、1つ星ホテルと同じくらいです。


今年2月には2015年10月1日から12月末までの3か月分の納税額が発表され、116.9万ユーロ(約1億4600万円)だったとのことです。

これを一人1泊0.83ユーロで割れば、同期間で約140万人泊の宿泊がAirbnbを通じてされたということがわかります。

同じ3か月間で、パリ市内のホテルの宿泊は850万人泊だったとのことですから、Airbnbはホテルの市場規模の約16%ということになります。


(出典:2016年2月5日ル・モンド
http://immobilier.lefigaro.fr/article/airbnb-regle-ses-comptes-avec-la-mairie-de-paris_6ca2a0ee-cbd6-11e5-b3bf-607cdb101185/)

さて、2016年ヨーロッパのサッカーNo.1を決めるUEFA EURO2016がフランスで開催されますが、今年に入ってすぐ、HomeAway(ホームアウェイ)がEURO2016のオフィシャルスポンサーになると発表されました。
https://www.homeaway.co.uk/lp/euro2016/

HomeAway(ホームアウェイ)とは、Airbnbをほぼ同じサービスを提供する会社です。
日本ではまだあまり知られていないかもしれませんが、すでに日本語でサービスを行っています。オンライン宿泊サイト最大手のエクスペディア社に買収されたため、ホテルの検索とならんで結果が表示されるようになるかもしれません。(もうそうなっているのかな)


そして4月、パリのホテル業界の組合が、EURO2016期間中の滞在税の支払いを拒否する、と発表しました。

http://www.franceinfo.fr/actu/economie/article/les-hoteliers-veulent-boycotter-la-taxe-de-sejour-pendant-l-euro-de-football-783043


最終的にどうなるのかはわかりませんが、競争はつづきそうです。

宿泊機関を選ぶ基準は、安全性、快適性などいろいろとあるでしょうけれど、値段もやはり大きな要素です。

パリに1週間滞在すると、あるいは家族で数日滞在したばあい、ホテルと民泊ではやはり全然値段が違います。それと家族4人が一部屋で泊まれるホテルが少ない(ほとんどない)ことも私自身が民泊を選ぶ理由の一つです。


需要があるところに供給は生まれる、というシンプルな理屈にはなかなか逆らうことはできませんが、もっと考えなくてはならないことも多くありますね。


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2016.03.13

日本版DMO候補法人は「候補」なのですね

先日(2016年2月26日)観光庁からついに日本版DMOが発表になりました。

http://www.mlit.go.jp/common/001121023.pdf

と思っていたのですが、このブログを書くために報道資料をよく読んでみましたら、
日本版DMOではなく、日本版DMOの「候補となりうる」法人が登録された、
ということなのですね。


観光庁が創設した制度は、日本版DMOを登録する制度ではなく、
日本版DMOの候補となりうる法人を登録する制度とのことです。


候補となりうる、ということは、候補となるかもしれないよ、
でも今はまだ候補になっていないよ、ということです。
まだこの先に、正式なDMOの登録みたいなことがあるのかどうかは、ちょっとわかりません。


登録の際には一定の審査もあるようですが、審査されてもなお候補としても
正式に登録されず、候補となれるかもしれませんよ、という法人が登録された、
と、ややこしいですが、そういうことのようです。

DMOの機能は厳密に言えば組織ごとに違うでしょう。ただ、シンプルに言えば、観光は地域の経済的、雇用創出に貢献することを認めたうえで、観光を国、あるいは一定の地域の政策目標として設定し、地域の事業者と連携しながら、観光客を国・地域に呼び込むためのマーケティング活動と受け入れ整備をする組織のことです。

さらに現代的課題として、地球温暖化や環境保護に配慮して、現在の旅行者の
ニーズを満たしつつ、未来の世代まで観光地の価値を失わないような取り組みも
DMOには求められます。
例えば、観光客が来すぎたばかりに自然が破壊され、観光地としての魅力自体が
なくなってしまったら、それ以降、観光という政策目標が実現できなくなるため、
そうならないように配慮した観光地にする、そのために適切に観光地を
管理する、ということです。


DMOが役割を果たすためには、実は地域の事業者と連携して、というところがポイントだとおもいます。


観光という政策目標を実現する、ということは、国内外の観光客が適切にその観光地を
訪問する、という状態を持続的に実現する、ということです。
これは簡単のようでそれほど簡単ではありません。


観光、というのは、地域側=デスティネーション側だけで実現できるものではありません。
観光は地理的にも時間的にも広がりを持ち、消費者が旅行をするまでに、
様々な事業者から様々なサービスを受けることになるため、それらの関係者がそろい、
十分な量と質のサービスを提供し、同時期に機能している必要があります。
それは「システム」のようなものです。しかも金も人も情報も出入り自由なオープンシステムです。

つまり、観光の実現とは、このようなシステムを創出し、維持拡大することです。
その推進役をDMOが担うのです。

しかしDMOがすべてそのノウハウを開発し持ちうることは容易ではありません。


そのため、現在は観光は大学でも活発に研究され、応用されています。
観光という社会現象の研究(基礎研究)、観光事業のマネジメントの研究、
デスティネーションマネジメントの研究など、その分野もかなり幅広いです。

観光研究では事業とのつながりも重視されます。

観光の学部・学科が、実際にホテルやレストランを経営、運営するところも多くあります。

、、、、というのは欧州での話。


残念ながら日本はこれからです。もちろん日本の大学にも「観光」を研究し学べるところは増えてきました。しかし、観光学術界が地域の観光の発展に役に立っているという社会的な認識がどの程度もたれていることでしょうか。


最近ある観光系の雑誌の記事で、日本の観光研究のレベルは世界にひけをとらない、という発言されていました。まあ、一部分野によってはそうなのかもしれませんが、ちょっとびっくりです。観光の研究者自らがそういう感覚なのですね。


ーーー
日本版DMO候補法人には、熱意を持った方も多いと聞きます。
訪日旅行市場拡大の中で、これからは、観光地は好むと好まざると、世界の観光地との競争になります。
観光地として選ばれるために何をすべきか、どのようにして雇用創出につなげ地域の発展に貢献していくのか。
DMOへの期待は大きいですが、同時に負う責任は重いです。


今回の観光庁の登録が、日本の観光の新しい潮流をつくるきっかけとなるといいですね。

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2016.01.24

パリでAirbnbを利用して滞在してみました。

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昨年夏に1週間、2015/2016の年末年始に4泊5日、パリに滞在した際に
Airbnbを利用してみました。

Airbnbがどんなものかを知るためと、やはり一旅行者としてのニーズを満たすため、
つまり安く、快適な宿に泊まりたい、ということです。

宿泊場所は、夏も冬もセーヌ左岸、パリ5区、カルチェラタンにしました。

本当は観光を考えるとセーヌ川の北側、オペラ座付近がとても便利です。
主要ツアーもオプショナルツアーの出発地はセーヌ川の北側ですし(セーヌ右岸とはあまり
いわないらしい)日本人御用達の和食レストランの集まるところ、そしてジュンク堂も
メトロ、ピラミッド駅の近くです。
ついでながら、ブックオフは昨年(2015年)末で閉店してしまい、これは本当に残念でなりません。


カルチェラタンのご紹介は別の機会に譲るとしまして、今回の本題、Airbnbです。


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もともとは自分の家の空いている部屋を貸し出す、というコンセプトだったので
いわゆるオーナーとの同居がイメージされたころもありましたが、
もちろん今もそういうところもありますが、貸し切り、つまり同居人はおらず、
部屋を丸ごと利用できる物件も多く、その場合、オーナーとはほとんどネット上だけの
やりとりで実際に会うことはありません。

そのやり取りが迅速であったか、満足のいく対応をしてくれたかどうかは、
Airbnbのサイト上の口コミ情報でだいたいわかります。


夏も冬も、どちらのオーナーも英語ができ、とても親切に、そして質問に対しては
迅速にこたえてくれ、とても満足のいくものでした。

夏の一週間は一人だったため、おそらく20平米もない部屋を借りました。
トイレ洗面、シャワー付き。

冬は家族4人での宿泊だったため、キッチン1、寝室2、居間1、バスタブ付きシャワー、
洗面台、トイレ付、という間取りのアパートでした。


サイトには部屋の写真がたくさんあり、大体のイメージはつかめます。
しかしやはり行ってみると違うところは多々あり、とくに広さの感覚は、写真からは
非常につかみずらい気がします。

ホテルもそうですが、値段の高さと物件の良さ・立地の良さはほぼ正確に比例します。


場所がよければよいほど、部屋が広ければ広いほど、きれいであればあるほど
値段は高くなると考えていいと思います。


<夏> 7泊
1泊41ユーロ(約5740円)、清掃代15ユーロ、AirBnbサービス料37ユーロ
合計341ユーロ(約47740円)

パリのど真ん中、夏の超繁忙期に一泊当たり約6800円ですからまずはお得です。


<冬> 4泊
1泊161ユーロ(約22540円)、清掃代50ユーロ、AirBnbサービス料86ユーロ
合計781ユーロ(約109340円)

一人あたりは4泊で195,25ユーロ(約 27,335円)
一人1泊あたり48.8ユーロ(約6833円)


偶然夏と単価が同じくらいですが、部屋の大きさと立地を考えれば
十分納得がいく値段です。


一方で実際に使用してみると不便な点にも気づきます。

一番めんどくさいのは、大きな荷物がある場合、チェックアウトをしたあと
どこに預けるか、ということです。

次の人のチェックインが午前中なら部屋をそれまで開けなくてはならないため、
部屋に荷物を置いておく、という選択肢はなかなか難しくなります。

スーツケースをもって市内観光をするわけにはいきませんから、
一度はオプショナルツアーに参加して荷物もバスに積んでもらいました。
2度目は次の人のチェックインが午後だったので、それまで部屋に荷物を
置いておいてもいい、といわれました。
またもし次の人が来ている場合には、部屋の外でもいいともいわれました。


日本ならたいていの大きな駅にはコインロッカーがありますから
これを利用することができますが、それでも駅まで行かなくてはなりませんね。


また別の友人がAirbnbを利用した際には、ロストバゲージをしたのですが、
(荷物が一緒に空港につかなかった)荷物の送り先で受け取りをどうするかが
困ったといっていました。

ホテルならもちろん預かってもらえますが、通常の宅配便と同様、
誰もいなければどこかにもって帰られてしまいますし、旅行中ですから、
ずっと部屋にいるわけにもいきません。


部屋のアメニティの有無は、ほとんどがサイトに書いてあり事前にわかりますが、
ティッシュペーパーまではあるかどうかがわからなかったり、
ちょっとした料理をする際に必要な、油や塩コショウまでは記載がなかったりします。

もちろんそれらはオーナーに聞けばわかることではあります。


ーーー
以上、つらつらと書き並べましたが、総じて便利なサービスであると感じました。

ホテルの需要を奪うかどうか、という意味では、たしかにAirbnbがなければホテルに
泊まらざるを得ないわけですから、そのぶんホテルは機会を失った、といえますが、
しかし家族4人だと2部屋になってしまうのでもともとホテルは選択したくなかった、
一人で一週間滞在するには調理ができるほうがいい、という意味ではやはり
ホテルは選択しづらかった、ということを考えると、ホテルの機会を奪った、というよりは、
滞在に新しい選択肢が生まれた、と考えることもできます。

1泊くらいでしたら、あるいはビジネス出張の場合はホテルのほうが快適な場合もあり
(もっとも最近はAirbnbもビジネス利用の促進を図っているようですが)、
ホテル業界だけから見れば脅威もあるのでしょうけれど、サービスの多様化が、
旅行需要を増やし、旅を豊かなものにする、という意味はあるのではないかとも感じます。


もちろん、既存の法律との整合性や安全の面など検討しなければならないことは
まだまだ多くあることも事実ですね。


  

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2016.01.04

パリ5日間でウーバーUberを13回利用する。

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ウーバーについて、あるいはパリのウーバーについてはすでにいろいろな情報がネットにアップされていますのでここでは詳しくは述べませんが、2015年~2016年の年末年始の情報としてつらつらと感想を書いてみたいと思います。


今回パリの滞在は5日間、その間で合計13回Uberを使用しました。


まず、海外で一番気になる言葉の問題。これは完全にといっていいくらい解消されます。Uberアプリで行き先を指定すれば、行き先を伝える必要はありません。ボンジュール!といって乗り込めばそれだけ。

そして支払いの際にも、お金を渡さないで済みますし、チップがいくらかを考える必要もありません。その行為自体がないのですから、もちろんそのやり取りをフランス語でする必要もありません。
(メルシー、オヴォア ありがとう、さようなら、くらいはいいました!)

行き先まで遠回りをされぼったくられる、こともありません。理論的にはあり得ないことではないので、ここは最終的には自己責任ですが、GPSでルートが表示されますし、そもそもドライバーがだれかがわかるため、それがけん制になり、ドライバーにぼったくりのインセンティブは働きにくいでしょう。

これらは一般的に言われていることですが、その他こんなことにも気が付きました。


今日は雨で駅前が大渋滞していました。タクシーも長蛇の列。
そこで駅から少し歩いて駅前の渋滞がなくなった付近でUberを使用すれば、タクシーは来ない、順番待ちも多い、やっとタクシーに乗っても動かずメーターが上がるばかり、そんなことを避けられました。


また観光で疲れた時、あるいは雨の時、タクシーに乗りたくてもタクシースタンドを探すのさえ大変です。しかしUberは交通ルールを守る限りどこでも来てくれます。


さらに、すべてではないですが、時々ペットボトルのお水やキャンディーをくれるドライバーもいました。
また降りるときにドアを開けてくれるドライバーも2~3割くらい。大きな荷物はもちろんトランクに入れるのを手伝ってくれます。


私は今回は経験しませんでしたが、運転手に聞いたところ、仮にものを車に置き忘れても、お客様はドライバーのことがわかりますし、ドライバーもお客様がわかるので、見つけることも簡単です。


などなど今回Uberを利用したメリットを書きましたが、それを想定することは実はそれほど難しいことではありません。
なぜならタクシーを利用する際の不便さを思い浮かべ、それが解消された、と考えればいいからです。


言葉の問題、ぼったくりの問題、パリでタクシーを利用する際に少なからず聞く話です。また私の最寄り駅の某市でいつも使う駅のタクシーは時々たばこ臭く、スーツケースをトランクに入れるのをいまだかつて手伝ってくれたことはありません。


さて、困ったことがいくつかありました。一つはネットがつながらず、Uberのアプリが立ち上がらなかったこと、2つ目は、夕方でiPhoneのバッテリーがなくなりそうになり、そうすると、Uberを呼べなくなりそうだったこと。
しかしそれらはどちらもUberの責任ではありませんね(笑)。

以上、今回はビジネスモデルや分析などを加えず、事実と一ユーザーとしての利用勝手を書いてみました。

破壊的なイノベーションかどうか、とか、タクシー業界を脅かすかどうか、といったことは、別の機会にいたしましょう。大事なのは現場、事実。


そして最後に、これらUberのメリットは、タクシーにできないことばかりかといえば、けしてそうではないのではないかと考えています。
分析はしないといいましたが、私が感じることは、このような構造はなにもタクシー業界に限ったことではなく、ほかの業界でもみられること、ということです。すでに顕在化しているユーザーの声にさえ、既存の枠組みを変えずに(変えられない理由を見つけて)対応しない、という構造です。

学ぶべきことは多いです。

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