2018.04.17

パリの素敵な、山の本屋さん Librairie des Alpes

Librairie_des_alpes

今日はとても素敵な本屋さんをご紹介します。

パリ左岸の6区、セーヌ川まで歩いて1分、ポン・デ・ザール橋はすぐそこの、


Librairie des Alpes リブレリー・デ・ザルプス書店

librairiedesalpes.com/
https://www.facebook.com/librairie.librairiedesalpes/


です。


パリの登山家、山を愛する人たちにとても有名なこのお店は、創業は1933年ですから、すでに85年ということになります。

山に関する古本屋や新刊本が1万冊以上、本だけでなく、写真や雑誌などもあります。

お店に入ると、そのすべてが山に関する本かと思うと圧倒されます。
新刊本だけでなく古い本もあるので、掘り出し物も見つかるかもしれません。


私は若いころには山登りもしましたが、現在の山登りブームにはついていけていません。
また山岳写真家の白籏史郎の名前くらいは知っていはいますが、山の書き物にもそれほど興味があるわけではありません。

それなのになぜこのお店にたどり着いたかといえば、19世紀の観光の歴史に関わります。
観光は近代に、鉄道を活用して大衆化していったのですが、アルプスの観光開発もやはり鉄道なしにはなかったといえ、その資料を探したかったからです。


お店を訪れたのは2017年9月。


ボンジュール、と声をかけ、一通り店内を見た後、幸い他にお客さんもいなかったので、店主に聞いてみました。

 この店には鉄道に関する本はないですか。

 ここは山に関する本しかないよ。


とすこしぶっきらぼうな感じ。


ところが実はすでに
 
 Le Mont-Blanc Express   L'invention du tourisme alpin
 モンブラン急行  アルペン観光の発明


という本を見つけておいたので、


  こんな感じの本ですよ、19世紀の観光の歴史を調べていて、アルプスについてもなにかないかとおもって。


ということから、気難しそうな店主はどうやら打ち解けてくれました。


店主の知り合いが最近日本に行ったことなど、いろいろと話をされ、高い天井いっぱいまで本に囲まれた空間で、とてもすてきなひとときをすごすことができました。


肝心の本はといえば、1冊だけという収穫でしたが、4色大型本で図や写真が多くあり、とても素晴らしいものでした。


ーーーーーーー

*** 関連する本 ***

観光大国スイスの誕生 河村英和著 平凡社 2013年


スイスは今でこそ世界中の観光客が訪れる人気の観光地ですが、17世紀までは恐れの対象となっていました。それがルソーに代表されるロマン主義者を中心にその素晴らしさが発見され、鉄道が開通し、現在の観光大国となったのです。



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2018.04.14

アムステルダムの古本屋 Kok

Amsterdam_map


今日はアムステルダムの、すこし趣の変わった楽しみ方をご紹介しましょう。


観光客でにぎわうレンブランド広場でトラムを降りて、有名なホテルヨーロッパを横目で見ながら運河を二つ渡って、歩いて10分もかからないところに、古本屋Kokはあります。

もしダム広場やニューマルクトにいるのであれば、そこから歩いたほうが近くてわかりやすいです。


Antiquariaat A. Kok & Zn. B.V.


こちらはお店のホームページですが(↓)、オランダらしいというか、なんとも飾らない、テキストエディタでHTMLを書けば1時間もあればできてしまうようなデザイン。
http://kok.nvva.nl/

写真付きのこちらをみていただいたほうが雰囲気がわかります。

http://nvva.nl/kok/


古書だけでなく絵葉書や古い地図も販売しています。
冒頭の写真はKokで購入したアムステルダムの古地図(複製)。


さて、あるとき旅行や鉄道の本を物色し会計にいくと、


 鉄道に興味があるのか。2階にもっとあるがみるか


とのこと。会計の右手に階段があり、登る手前にあるロッカー荷物を入れるよう指示されます。2階は店員がいないので、本をカバンに入れて持ち帰ってしまうことを防ぐためのようす。


秘密の部屋のようなところで、高い天井いっぱいにあらゆるジャンルの古本が並んでいます。

ところで日本の古本屋は通常店舗に並んでいる本が在庫のほとんどで、奥にある本はダブリか予備。質的にいいものはほとんど全部が店頭にあります。

一方欧州では、店には一通りのものを並べ、倉庫などに一層よいものが置いてあるのだとか。「店の品は氷山の一角である」とのこと。
 (ヨーロッパ古書紀行 昭和48年 文車の会編 文化出版局)


確かにこれまでに訪れた古本屋は、パリでもヘルシンキでもほとんどのお店で、店頭から奥まったところに(上だったり地下だったり)膨大な在庫がありました。


さて、ガイドブックの棚を発見。19世紀に発行されたものも多数あります。でもいい本は1万円以上します。

さんざん迷った結果、今回の収穫はこちら。


Official_guide_2

鉄道院が1914年(大正3年)に発行した西日本のガイドブックです。


An official guide to Eastern Asia
Vol. II : South-Western Japan
185ユーロ

各地の紹介のページの前には、204ページにわたり、日本を旅行するための一般的な情報や、日本の歴史、芸術、宗教などが紹介されています。

この本は最近では観光研究の対象にもなっているようです。


このほかにも、アムステルダムにはいくつかの古本屋があります。

Kokから歩いてすぐのところに近くに小さな古本屋が並んだ通り Kloveniersburgwal 82や、「9つの小さな通り NegenStraatjes」の地域にも数店舗見つけることができます。


Kloveniersburgwal通りは、絵葉書やポスターなどもあり、旅のお土産にもなります。

http://halfpixel.jp/blog/20120617/books-and-prints/

「9つの小さな通り」には有名なパンケーキ屋さんもありますね。


興味のある方はぜひ訪れてみてください!


*おすすめの本*
 

オランダ旅行の前で後でもぜひおすすめ!

司馬遼太郎はオランダに何度か訪れていますが、この本からは彼のオランダ愛を感じます。

続きを読む "アムステルダムの古本屋 Kok"

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2018.04.01

本のまち フランス・ベシュレル

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さて、いよいよフランスにある”本の町”ベシュレルをご紹介しましょう。


フランス語学習者にとっては、ベシュレルといえば、およそすべての動詞の活用が掲載されている本のことですね。(Bescherelle)。しかし、本好きな人にとっては、Béchelelというつづりの、ブリュターニュにある小さな町のことになります。

https://becherel.com/

訪問したのは2017年9月。夏の観光シーズンも終わり、もうすでに肌寒い季節でした。


ところでまちおこしに「本」を活用した町としては、イギリスのヘイ・オン・ワイHay-On-Wyeが有名です。

ベシュレルはそのフランス版。本の町としてはフランスでは初めて、そしてヨーロッパではイギリスのヘイ・オン・ワイ、そしてベルギーのレデュに次いで3番目、とのこと。
ついでにオランダにも本の町ブレデフォールトがありますがその訪問記は別の機会にご紹介しましょう。


さて、パリ、モンパルナス駅から、新幹線TGVで約1時間半でレンヌ、レンヌから約40KMのところに位置するベシュレルは、中世から続く、人口約700人の小さなまちです。ブリュターニュ地方でも、最も小さい自治体コミューンの一つです。大きさ的には町というより村ですね。


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古書を扱う本屋さんが12店舗、そのほかにギャラリーやアトリエが石畳の町に点在しています。


公式には1988年から本のまちとして紹介され始めました。


町の入り口にある新しくできた近代的な建物には、観光案内所があります。

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せっかくベシュレルを訪れるのでしたら、イースターに開催される「本祭り」などのイベントの時や、ほぼ毎月第一日曜日に開催される本の市に合わせて訪問の日程を組むのがいいかもしれません。


さて、せっかくブリュターニュに行くのですから、旅の楽しみである”食”も忘れずに。
ブリュターニュといえば、そば粉でできたガレット。

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小麦粉でつくるクレープのようなものなのですが、そば粉なので黒っぽい生地となります。

ベシュレルにある唯一のクレープ屋さんでいただきました。

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町なかは、端から端まで10分もあれば歩けてしまう大きさです。
でも本屋さんに立ち寄りながら、半日くらい滞在しました。


ベシュレルはレンヌからバスで行くことになりますが、このバスに乗るのは一苦労。
レンヌの駅前から出ていないので、初めてだとすこし難しいです。


でも観光としてはレンヌのほうが有名なので、ベシュレルとセットで訪問するのがおすすめ。

レンヌは、フランス第2の大きさを誇る土曜市や木組みの家々など、独特の雰囲気がとても美しい街です。

パリからは日帰りで旅行できますが、宿泊すればもっとゆっくり楽しめます。
ついでにレンヌはモンサンミッシェルへのバスが出ています。


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2018.03.11

ロートレックとパリの古本市

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ドイツの歴史家であるレシュブルクの著書「旅行の進化論」(邦訳1999年)は、青銅器時代から現代までの旅行形態の通史がコンパクトにまとまっていて、旅行の発展史をわかりやすく追うことができる。

ヨーロッパを視点とした記述であることは、今時の歴史学のトレンドからはすこし時代遅れなのかもしれないが、欧州における旅の歴史を学ぶ、というスタンスで割り切って読めば多くの知見を得ることができる。

その中に少し気になる記述があったので今日はそれをご紹介する。


第9章「旅行産業は団体旅行から」では、トマスクックをはじめとして、19世紀の旅行産業について語られている。
その中にトゥールーズ・ロートレックに関する以下のような記載があった。


>トゥールーズ・ロートレックのような画家が、旅行目的地のポスターを描いた。新聞は旅行特集を付録にして、旅行評論や広告を掲載した。(P161)


旅行が大衆化し経済の一端を担うようになることを指摘する一端のくだりであるが、はて、トゥールーズ・ロートレックは旅行目的地のポスターなど書いていただろうか。


確かに彼は印象派画家全盛のころ、モンマルトルのキャバレーに出入りし多くのポスターを制作した。そしてそのころ19世紀後半はフランスでも鉄道網が拡大し、レジャーが、余暇活動が社会に広がっていった。

その中で鉄道会社によるものを始め多くの観光地ポスターが宣伝のために制作された。ブルターニュが観光地としてポスターで宣伝され始めたのもこの頃からだ。
「そうだ、京都行こう」で有名なJRのデスティネーションキャンペーンでは、中吊りや駅貼りポスターで観光地を宣伝しているが、そのルーツは100年前にさかのぼることになりなる。


しかしロートレックが観光地のポスターを本当に作っただろうか。


これを調べるにはロートレックの作品を当たるしかない。「悪魔の証明」のいうとおり、「ない」ことを証明するにはすべての場合を確かめるしかない。


いまどきネット調べてみるとロートレックの有名なポスターは多く紹介されている。また東京・丸の内にある三菱一号館美術館で運よくロートレック展を開催していたので行ってみたが、しかし全集みたいなものはなかった。

「ない」ことを証明するにはどれも不十分であった。


そんなこんなしているうちに、なかなか調べる機会がなかったのだが、ついにその日がやってきた。


パリの古本市である。


パリ15区のジョルジュ・ブラッサン公園では、毎週古本市が開かれている。
公園の一角にある、体育館一つ分くらいはありそうなスペースに、何十ものお店がでている。

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閉店の時間が近づき、かたずけ始めている店もある中で、ついにその本はそこにあった。558ページもある大型本を手に取ると、店員(おそらく店主)が近づいてきて、それはいい本だぞ、という。これはすべての絵が掲載されいるか、と聞くと、ほぼ全集に近い、という。

値段を確認すると30ユーロ、約4千円。

考えられないくらい安い。それは自身が定める価値、つまりほしかったものがようやく入手できる、その対価として安い、という意味はもちろんがあるが、500ページ以上の、フルカラーの大型本がそもそも30ユーロで手に入ること自体、とてもお買い得感あり。

ついでながら、カバーには「350フラン」と表示してある。発行は1992年発行。フランスフランは当時24円程度らしくそれを基に計算すると約8400円。定価はそれなりの値段だったようす。

さて、肝心の調査の結果だが、やはり観光地のポスターはなかった。
風景を描いたものはないことはないが、しかし観光地宣伝のものではない。


有名な歴史家でも認識を間違え誤記をすることもあるのだなあ、とおもいつつ、しかしロートレックが観光地ポスターを制作したらいったどのようになっただろう、とすこし残念な気もする。いやもしかしたら地球のどこかにロートレックが書いた観光地ポスターがあるのかもしれない。


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2017.11.29

「旅行用心集」 八隅藘菴著 文化7(1810)年

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「地球の歩き方」が創刊されたのはWikipediaによれば1979年なので、私が卒業旅行でお世話になるころにはすでに10年がたっていたことになる。

卒業旅行は生れてはじめての海外旅行で、その時にやはり生れてはじめて飛行機に乗った。
手元に「地球の歩き方 ヨーロッパ’86~’87版」がある。
その奥書をみると、初版は昭和54年、つまり1979年に「’80年版」が発行されたことがわかる。

手元にあるものは、改訂新版発行(大改訂版)である。
手書きで「1986.7.7」とあり、これは購入日だろう。


最初のパートは各地の案内ではなく、海外旅行に関するいろいろな情報や注意書きが掲載されている。それだけで全800ページのうち、116ページまでを占めている。

第2章が「旅の手続き」、第3章「旅の道具」、第6章「旅の予算」、第14章「国境の越え方」などとなっており、このあたりに鉛筆で多くアンダーラインを引いている。クレジットカードや、外貨、現金、服装の件などなど、まだ見ぬ海外のこと、そして海外旅行とは一体何なのか、インターネットもない時代に、必死に想像し事前に学習していたことを想いだす。

しかし実は実際に旅にもっていったのは「地球の歩き方」ではなくて、JTBから出版されていた、似たようなコンセプトとのガイドブック「JTBのフリーダム① ヨーロッパ自由自在」だった。A5変型という大きさも同じ、ページ数は895ページ(1989年改訂2版)と、地球の歩き方より95ページ多い。
後発ではあるが、「地球」に追いつき追い越そうとした編集努力がみられるような気がする。

ところが先の旅の用心集のページは102ページと「地球」よりも10ページ以上も少ない。

初めて海外旅行に行く学生にとって、不安感と期待感を醸成しそしてそれに答えたのは間違いなく「地球」だった。文章も巧みだった。「Immigration (入国審査)」(P49)にはこのように書かれてある。

 いよいよ目的地に着いた。すべてが初めての体験で緊張する。
 でも、落ち着いて深呼吸を1つ。だれでもが通過していくのだから、
 自然にしていればうまくいくのだ。


「地球」を読んだ時の高揚感は今でも明確に覚えている。経験者の投稿などもそれを旅のリアリティを醸していた。しかし出国手続きの記載は何度読んでも実感がわかなかった。今にして思えば出国審査自体はそこまで大げさなものではなく、また事前に勉強するようなものでもないような気もするが、まあ、そういう時代だったのだろう。


前置き長くなったが、さて、なぜそのようなことを突然思い出したかといえば、先日、古本屋で

 「旅行用心集」 八隅藘菴著 文化7(1810)年

という本を見つけたからである。


これはタイトル通り、旅に出かける人に対するその準備や旅先で注意すべきことが書かれているガイドブックである。

冒頭はこんな感じ。


 夫(それ)人々、家業の暇(いとま)に伊勢参宮に旅立するとて其用意をなし、道連等約束し、いついつかは吉日と定、ここかしこより餞別物など到来し、家内も其支度とりとりに心も浮立ばかりいさきよきものハなし。

 ジャーナリストの今井金吾があとがきを書いていて(1971年)、「今でも通用する旅の心得を集大成したのが」この「旅行用心集」と解説しているが、まさしくそれは「地球」の最初のパートと同じである。


「旅行用心集」の170年後に出版された「地球の歩き方」であるが、その意図するものに共通性があるとするならば、旅に出る人の気持ちは時代を経てもあまり変わらないものなんだと思う。


ところがデジタルエコノミーのさなかの現代、インターネットでありとあらゆる情報が手に入り、写真や動画、そして口コミでリアルタイムで遠く離れた地の情報が入手できるようになった。

旅行者は旅に出る前に、期待と不安が入り混じることはあるのだろうか。
それは昔とどの程度違っているのであろうか。

よく最近は、旅先での交流や体験が重視されるというが、旅先で期待する内容が変わってきている。しかしあんがい、旅に出る前の気持ちは変わらないこともあるのかもしれない。


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2006.01.24

修善寺

静岡県の修善寺にいきました。

宿泊は名旅館あさば。二日目はシャトーTSというワイナリーに見学に行きました。

あさばは、なんともシンプル、しかし一つ一つが価値のあるもので、とても大人の旅館です。最近、気のきいた旅館は多くなりましたが、玄関のはり、調度品など、おそらく今ではなかなか手に入らないものばかり。入り口左にご神木、右手には桜でしょうか。それらの価値が本当にわかるようになったらより楽しめるでしょう。

サロンには、渡辺淳一サイン本や、建築家の本などが多くあり、由緒ある旅館であることを感じさせました。

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