2013.08.17

お勧め本:アメリカの国際観光経済

観光が一体何の役に立つのか、と問われた時、
経済的メリットについては比較的わかりやすく理解できます。

つまり、ある地域に観光客が訪問し、そこで消費をすることが、
「経済的に」地域を潤すことにつながる、ということです。


観光客は今や国境を越えてやってきます。
国境を越えた経済活動は、輸出、輸入といった貿易という視点で
捉えることもできます。

そのような考えてみればとてもシンプルなことではありますが、
観光の経済効果についてはあまり学校で学ぶ機会などがないせいか、
一般になじみがないかもしれません。


アメリカの事例ではありますが、観光を経済面から見たときの視点を
わかりやく解説した本が出版されました。


アメリカの国際観光経済 浅羽良昌


アメリカではいまや観光産業における雇用者数は、金融・保険業に
接近し、運輸・倉庫業を上回っているそうです。(本文P16)

ただし、観光産業、というのは独立した産業とはみなされておらず、
いくつかの産業にまたがっています。

そこでその実態を正しく把握するために、「サテライト・アカウント」が
算出されています。


その他、お金の移動、人の移動などについて、統計資料を丁寧に読み取り
解説をされています。

観光の経済効果を把握したり観光政策立案の際には、
とても参考になるのではないでしょうか。


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2013.05.19

お勧め本:旅行業の扉 JTB100年のイノベーション

ついに発行です!

旅行業の扉 JTB100年のイノベーション

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従来型の旅行会社のモデルだけでない事業内容が
詳細に書かれています。
旅行業の最前線のビジネスモデルがこれだけ詳しく書かれている本は
他にはありません。

紹介されているビジネスモデルは以下の通りです。

法人営業、提販営業、BTM、MICE、パブリックビジネス、メディア販売
インバウンド、店頭営業、グローバル事業、地域交流ビジネス

私はインバウンドを担当させていただきました。
インバウンド事業自体は古くからあるものですが、昨今脚光を浴びているわりには
そのビジネスモデルは意外に知られていませんので、わかりやすさを意識して
書いたつもりです。


内容もさることながらも
339ページで1800円+税はずいぶんお得!(笑)

ぜひご覧ください!

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2013.03.23

お勧め本:地域プラットフォームによる観光まちづくり: マーケティングの導入と推進体制のマネジメント

先日ご紹介しました、


地域プラットフォーによる観光まちづくり
~マーケティングの導入と推進体制のマネジメント~


著者、大社充さんのインタビューです!


http://www.gakugei-pub.jp/chosya/001ookoso/index2.htm


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2013.03.17

お勧め本:地域プラットフォームによる観光まちづくり: マーケティングの導入と推進体制のマネジメント

ついに着地型観光のエバンジェリスト大社さんから、
新刊本が発売されました。


地域プラットフォームによる観光まちづくり: マーケティングの導入と推進体制のマネジメント


着地型観光が全国で思考錯誤されている中、参考になる文献は意外にすくないのです。

そんな中で、大社さんの既刊本、

体験交流型ツーリズムの手法―地域資源を活かす着地型観光

は今でも人気が高いです。

著者の強みは全国の事例を実際に足を運んでみられているところ。

地域を見る目は厳しくもあたたかく、経験と知識に裏付けられた語り口は、
時には柔らかく、時にはハードで、着地型観光に対する説得力が
違います。


DMO デスティネーション・マネジメント・オーガナイザー
または デスティネーション・マーケティング・オーガナイザー

観光地経営組織
観光地マーケティング組織

という単語がキーワードになっています。


地域のこのような組織がどれだけ実現するかが
今後観光が進化するためのカギになってきます。


この分野の研究や実践がさらに進むことを願っています。


こちらも、事例が少し古くなりましたが、いまだに売れ続けています。
マーケティングの部分が私のパートです。



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2012.09.15

お勧め本:「観光地のアメニティ」 これはすごい!

神戸大学の田村正紀先生、といえば、
経営学、マーケティング、流通システムの研究の大家、
その著書は数多いですが、特に「日本型流通システム」は、
流通の研究では欠かせないバイブルとなっています。


その田村先生が観光研究に関する著作を出されたことが
まず驚きの一番目です。


観光地のアメニティ


つづく驚きはその序文。


「観光学部、観光学科などの制度的整備が進むにつれて、
観光学なるものが提唱され、その種の表題を持つ書籍が出版され始めているが、
そのほとんどは観光学の仮面をかぶった社会学、文化人類学、経済学、
サービス・ビジネス論、交通論、都市学、環境学にすぎない。」(Pii)

「独自の問題、コンセプト、そして方法論を持ち、ほかの研究分野から
独立した知の体系としての観光学なるものは、観光研究がはるかに
進んでいる欧米でもいまだ確立されていない。」(同)


私のHPは1995年に始めましたが、そのコンセプトは

このサイトは小林裕和の研究成果を主なコンテンツとして、
観光研究・観光マーケティングを紹介し、社会現象としての観光を
研究することの意義を広めることを目的としています。
/ First edition : 24 May,1995.
http://members.jcom.home.ne.jp/hirokazu.kobayashi/
としました。

「観光学」という表現はあえて使わず観光研究としたのは、
まさしく田村先生と同じ意図からでした。

しかしここで大切なのは誰も知らない私の指摘ではなく、
マーケティングの大家である田村先生がおっしゃっている、という事実。
(けして権威主義、という意味ではありません)


旧来の観光研究に一石を投じようとされる意図を感じざるを得ません。


そして内容もオリジナリティあふれる展開で、
非常に刺激を受けます。


ところが、実はこの本は編著となっており、
他の著者もいくつかの章を担当されています。

まことに残念ながら、そのあたりは従来の観光研究とそれほど
変わっていないようにも感じます。

また訪日客の分析についても、これは活用できるデータそのものが
少ないことも原因かもしれませんが、バトラーの観光地ライフサイクル論を
そのままあてはめるなど、すこし弱い気がしています。


個人的にはまったく面識はありませんが、田村先生とはいちど、
けんけんがくがく議論をしてみたいというのが夢です。
そうなれるよう、実力をつけなくてはなりませんけれど。。。。


いずれにしても、価格は高いけどおすすめ!!



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2012.05.13

「デザイン思考と経営戦略」

以前のブログで、デザイン思考についてご紹介しました。


観光とデザイン思考
http://hirokazukobayashi.air-nifty.com/marketing/2011/01/index.html


これはマーケティングではなくイノベーションへの関心です。

企業にはマーケティングとイノベーションの両方が必要です。
さらにいえば、


「イノベーションはマーケティングでは判断できない」


これは最近出版された


 デザイン思考と経営戦略 奥出直人 NTT出版


に書かれています。


デザイン思考をどのように経営戦略に取り入れるか。

そもそもデザイン思考を取り入れよう、とコンセンサスを得るフェーズから
困難がまちうけます。

そんなことをして何の意味があるのか。

もちろん現場への十分な説明は必要でしょう。
しかしある程度、ここはトップダウンが必要なところです。

おそらく職場でワークショップを一度してみれば、
これまでと一味違った仲間意識が芽生えるかもしれません。


デザイン思考は組織学習のプロセスのようにも思えます。


そしてそれはオペレーションに反映されます。
価値を生み出すのはオペレーションです。

資産をどう活用するか、それはオペレーションをどのように行うかに
つきるのです。

何かかっこいい戦略があればすべてハッピーということではありません。
戦略は実現されて初めて顧客に価値を生み出します。


人を幸せにする旅をつくる。
旅を通じて社会に貢献する。

そのような旅を生み出すイノベーションを実現するために
デザイン思考をとりいれてみようと思います。


ーーー


デザイン思考をわかりやすく知るのにお勧め↓


デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方 奥出 直人


デザイン思考と経営戦略 奥出直人 NTT出版

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2012.02.04

円高で観光研究の質の高い観光研究洋書を手に入れよう! その1

空前の円高傾向が続きます。

海外旅行は好調、インバウンドは今一つ、、という状況で
旅行業界はなんとも霧が晴れたような晴れないような、という感じ
ではありますが、観光研究者にとってはメリットもあります。

ご存じのとおり、観光研究は海外では日本のレベルより10年~20年は
先に進んでおり、今やアジアでも、香港や韓国などは、日本よりほど
すすんでいます。


そのため観光研究については洋書を当たれば良書がたくさんあります。

それなりに高い本も多くなかなか手が出ませんが、そうです、この円高を
活かさない手はありません。
 

いまやアマゾン日本語版でも洋書はレートにほとんど不利なく購入できるますので、
ぜひこの機会に質の高い洋書の観光研究本を入手されてみてはいかがでしょうか。

そこでいくつかお勧めの本をご紹介したいと思います。


まずご紹介の第一弾は

観光研究辞典 ジャファリ編
Encyclopedia of tourism
J.Jafari


です。

編集者チーフはいわずとしれたジャファリ先生。


観光研究者としては一家に一冊ほしい本です。
辞書ですから、英語ではありますが比較的抵抗なく参照できます。

著者は観光研究では名だたる人たちですので、著者一覧を見ているだけでも
どんな人がどのような研究分野に強いかがわかります。


私の手元には2000年版がありますが、現在販売されているのは
2003年版で、ページ数も増えているようです。

論文を書く際にも、用語の定義を確認でき、また、用語に関連する
基礎的な文献も紹介されていますので非常に便利で、研究を
深めるのにも有効です。

ついでながら日本での観光研究辞書の定番は

観光学辞典
長谷政弘編著


ですね。

全268ページです。

Encyclopedia of tourism
は720ページあります。厚みが全然違います。

また

観光学大事典
日本国際観光学会

という書籍もあるようですが私は入手していません。
これは全388ページ。

Encyclopedia of tourism、
ぜひ実際に手に取ってみてください。

とってもお勧めです!



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2011.10.10

お勧め本:昭和旅行誌 雑誌『旅』を読む

2004年から始まった雑誌「旅」、つまり現在書店に並び、
新潮社から出版されているそれは、おそらく女性読者を意識した、
とてもクールな編集です。

しかし2004年以前はJTBから出版され、1957年には松本清張の「点と線」が
連載されていたことを、今の若い方はご存じないかもしれません。


創刊は1924年、大正13年と87年前のことです。

もちろん私も一時期愛読しており、手元にある一番古いものは
1985年6月号です。
この号の特集は「吉備路瀬戸内海」。
瀬戸大橋開通3年前にあたり、
なんと宮脇俊三の紀行文が掲載されています。

このような、観光研究の視点から見れば非常に資料性が高い
雑誌「旅」は、当然観光研究の中でもこれまで研究資料として使われてきました。


しかし今回紹介する書籍は、観光研究者ではなく地理学者によるものです。


昭和旅行誌 雑誌『旅』を読む
森正人  中央公論新社


それにしてもよくつぶさに調べているなあと感心します。
読み物として面白いかどうかは、これから読まれる方の興味に
よるかもしれません。

すくなくとも私には読み物、というよりも資料としての
価値が高いものでした。


「旅」の休刊、つまりJTBから新潮社に「旅」のブランドが移管したことを
もって、筆者は

 昭和の観光の終わりを告げるものだった

と評しています。

果たして本当にそうなのでしょうか。


海外旅行と「地球の歩き方」「深夜特急」などのメディアとの
関係をあらわした、以下の書籍をあわせて読むと
時代を複眼的に見られ面白いです。

ニッポンの海外旅行 若者と観光メディアの50年史
山口誠  ちくま新書

こちらも観光研究者の著作ではないですけれど。。。

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2011.07.16

お勧め本:発展途上世界の観光と開発

ひさしぶりに、本格的な観光研究の本が発刊されました。

発展途上世界の観光と開発
D.J.テルファー、R.シャープリー
古今書院


残念ながら日本人研究者の著作ではなく、カナダの大学の先生の著作の
訳本です。

発展途上国における観光開発の役割、課題を網羅的に扱っています。
参考文献も多く、持続可能な観光を学ぶ教科書として良書です。
訳本で348ページとずっしり分量があります。


日本では、一般的には観光が発展途上国の開発に応用されている
ということはあまり知られていませんが、観光成熟国、観光研究の
盛んな欧米では、非常に活発な分野です。

もちろん、途上国自体においても、持続可能な観光の研究は
すすんでおり、先日は突然スリランカの大学院生から持続可能な観光に
関わる研究についての相談のメールが来たりしました。

主な目次は以下のとおりです。
 第1章 序説:発展途上諸国における観光
 第2章 観光と持続可能な開発
 第3章 グローバル化と観光
 第4章 観光の企画と開発の過程
 第5章 地域社会の観光に対する反応
 第6章 観光の消費
 第7章 観光の影響評価
 第8章 結論:観光開発のディレンマ

将来、観光の国際分野で活躍したい、と考えている方には
重要な一冊となるでしょう。
日本がかかえている観光の課題と随分違うことがわかります。
もちろんその原理を理解することは日本の観光にもつながります。


ただ、訳文があまりこなれていないのが残念。
訳者のひとりの他の本もそうだったのですが、
直訳風の文章が多いのです。


また観光の専門家でいらっしゃらないためか、迷訳?がところどころに
みられます。


観光を創出する地域(出発地のこと?)
パック休暇(パッケージ旅行商品のこと?)
低料金航空(LCC?格安航空会社のこと?)
観光生産物(観光商品のこと?)


言い出したらきりがないですが、「マーケティング」を
いまどき「マーケッティング」と訳したりもしています。。。

さらに老舗の古今書院にはめずらしく、
誤字脱字が結構見られるのも残念。


ーー
これらにも耐えながらも、内容は素晴らしいのでお勧め!


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2011.05.03

日帰り客を増やせ! は正しいか

観光に関する研究には、いろいろなアプローチがあります。

建築家による都市計画からのアプローチも古くからされているもののひとつです。


創造都市のための観光振興
宗田好史
 学芸出版社


この書籍は従来の観光政策を見直そうとするチャレンジングな姿勢が読み取れる
刺激的な内容になっています。


たとえば

 Chapter1 地方都市が観光振興のためにすべきこと

の最初の項は

 1 観光振興策の根本的間違い

というタイトルがつけられ、市場調査の不足が指摘されています。
ただこの指摘自体は新しいものではなく、観光研究者「以外」の研究者が
観光研究を始めるときに最初に直面する課題です。


 2 まず、日帰り観光客を確実に増やせ


この項目では、宿泊客を増やすことを狙いがちだが、
小さな投資で日帰り客の確保をすることも必要、と
主張されています。

日帰り客を増やすことは私も賛成です。


ところが別の観点でこの主張を読むと、私は
経営学の組織戦略を専門とされている沼上幹教授の

 「カテゴリー適応」

という論理的な欠如を指摘する概念を思い出します。


カテゴリー適応の典型的な例として、


インテルは儲かっているのに、ノートPCが儲からないのはなぜか
という問いに対して、
ノートPCはアセンブリ(組立)業だから儲からないのだが、
インテルはデバイス業だから儲かるのだ、と答えてしまうこと

があります。これは、カテゴリーに分類して説明しているだけであり
「なぜ」に答えていない、論理欠如が見られる、というのです。

(「ストーリーとしての競争戦略」楠木建、P33-34)


小さな投資で日帰り客の確保をすること、
日帰り客は消費額は少ないが、魅力的な宿と飲食店、
売れ筋商品を持つ店があれば、着実に経済効果が上がる

ということなのですが、日帰り客が増えることと
消費額が上がることは、実はイコールではないのです。
日帰り客が増えて単価が小さくなり続ければ消費額は
さがります。

だから、

 魅力的な宿と飲食店、売れ筋商品を持つ店があれば、
 着実に経済効果が上がる

ということなのでしょうけれど、これは自明のことであり、
日帰り客だけでなく宿泊客にも当てはまることですね。


ですので、なぜ日帰り客を増やすべきか、ということは、
大変重要な問いかけでありますが、もうすこし詳しい説明がほしいところです。

長崎さるく、の事例が取り上げられ、経済効果が大きかった、
とふれられていますが、ほんとうにそうだったのか、
検証もなしに成功事例として紹介されるのは(学者の姿勢としては)
たいへん残念です。

京都やイタリアの事例や具体的な提言が多く掲載されおり、
参考になることは多くありますが、
紹介されているマクロトレンド、一般論と、京都、イタリアの事例の
結びつきにもうすこし工夫が見られると、著者の深いご経験が
観光研究者にもやさしく伝わってくるのではないかと思われます。


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