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2017.02.25

観光研究の情報発信サイト

オランダからの帰国を記念して(?)ウェブサイトをリニューアルしました。

http://hirokazukobayashi.travel.coocan.jp/homepage/

観光研究のいっそうの普及に向け、観光研究者だけでなく、観光実践者にも役に立つ情報を発信していきます。

かなりゆるい感じで。。

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2017.02.18

デスティネーション(観光地)のマーケティングについて

DMOとマーケティングの続きです。
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手元にあるデスティネーションマネジメントに関する書籍を見てみましょう。

Managing the Tourist Destination  Frank Howie、2003年
観光目的地をマネジメントする フランク・ホーウィー著


第4章、「Marketing places」(場所をマーケティングする)(P141-)の冒頭には以下のように書かれています。


ある場所(観光地)の計画、開発、マネジメントがどんなによかったとしても、そもそも観光客が、その観光地に行ってどんな経験をすべきかを知らなかったら、そしてそこが訪れる価値があるところだとおもわなかったら(おもわせることができなかったら)、その場所はただたんに、「潜在的に」観光地になりうる、ということにとどまってしまう。
(中略)

マーケティングは、成功する観光地として、目指すべきことを達成し、そうあり続けるための重要な要素である。

(中略)

マーケティングは、お金と交換できるものに焦点を絞る「販売」とは違い、潜在的な顧客が何であるか、そしてそのニーズを満たすよう、提供する商品サービスを適合させることに関心を持つことである。

(後略)


これらはマーケティングに詳しい方なら当たり前のことではないか、と思われるかもしれません。
しかし、日本では観光地のこととなると、どうしても地域における観光計画や観光地をマネジメントするか、ということが大きく取り上げられ、マーケティングが後回しになるか、最悪観光地のマーケティングについてなにも検討がされない場合も見かけます。

なぜDMOにとって観光地のマーケティングが必要なのか。理屈はシンプルです。知らないところは行こうとも思わない、ということです。人が行かなければ、そこは観光地になりません。

たとえば--。

 オランダにゼーランドというところがあります
 ぜひ来てください

といきなり言われても、行きたいと思いますか。なんだかよくわかりませんね。そこに何があるのか、何ができるのかがわからなければ行ってみたい、という気持ちにはなかなかなりえません。

オランダのお隣りベルギーは美食の国、カキやムール貝がおいしいことで知られていますが、実は多くがオランダ・ゼーランドで養殖されているものがなのです。またベルギーでムール貝レストランに入りますと、いいものであることをアピールするために「ゼーランド産」とうたっていますところもあります。


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そしてゼーランドに行きますとレストランがありそこでムール貝、カキを食べることができます。年に一度お祭りもあります。アムステルダムから車で2時間弱で行ける距離です。


いかがですか。おそらく、ベルギーの美食事情をよく知る方、ムール貝好きな方、おいしいものが好きな方なら、行ってみたくなりませんか。


全く知られていない場所はもちろんのこと、すでに有名な観光地になっているところでさえ、そこに何があり、何が経験できるのかという情報を発信することは非常に重要であり、そしてそれはDMOの大きな役割の一つでもあるのです。

観光地のマーケティングはもっと知られてもいい、観光の発展に必要なノウハウではないかと思っています。

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2017.02.13

DMOとマーケティング

DMOを始めて一番先に何を考えるべきか、と聞かれたら、私の答えは、マーケティング、です。
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DMOの「M」がマネジメントを指すのかマーケティングなのか、いやその両方、という議論がよくあります。
また「日本型DMO」と称される場合には、地域における関係者が一致して観光に取り組む、ということを主眼に説明される場合も多いように思います。
もちろん、地域における観光地マネジメントの必要性は言うまでもありません。

マネジメントが先かマーケティングが先か、という議論をするときに、私はいつも思い出すことがあります。


それはDMOにさきがけること10年、着地型観光の必要性が言われ始めてから、日本各地で地域が主導する観光が取り組まれました。
ところが地域においては、観光資源を発掘しそれをいかした取り組みをしたのに、肝心な観光客が全然来ない、という状況を時折耳にします。観光客がいつまでも来ない取り組みに地域が疲弊してしまう、という最悪なことも起きているようです。

観光客の来ない観光地域マネジメント、というわけです。


私はこれを良しとしません。
観光客が来て初めてその地域は観光地となり、経済効果や雇用が生まれる、と思うからです。


DMOに必要なのは、マーケティングです。
より正確に言えば、マーケティング戦略の策定とその実践です。

もちろん、マーケティングにより観光地域を推進する際のすべての課題が解決するわけではありません。
マネジメントとマーケティングのバランスが大事です。
そしてそのバランスは、観光地のステージ=観光地がどのような状態なのか、によって変わってきます。

しかし、地域創生、地域活性化のために観光客を呼びたい、という文脈の場合に、先に地域マネジメントが来てしまい、地域で盛り上がっていろいろな取り組みはするものの、観光客がいつまでたっても来ない、という状況はなにかおかしな気がします。みなさんの地域はそのような状況になっていないでしょうか。


もし地域の取り組みに、なにか閉そく感が漂い、なかなか手ごたえがない、という場合には、一度その取り組みをマーケティングの観点から見直してみることをお勧めします。


たとえば北欧。みなさんはオーロラを見てみたいですか。
今では多くの人が、マイナス20度以下の野外でオーロラを見にいきますが、30年前はそれは極めて限られた市場規模でした。
しかしそれが今や冬のメジャーな観光のひとつといってもいいほど人気があるのは、関係者のマーケティングの努力の結果でした。


およそどんな観光地でも必ず観光客が訪れる潜在力はあります。しかし取り組みを適切に行わなければ、観光地にはなりえません。
観光地マネジメントをどんなに一所懸命行ってもなかなか人が来ない、そういう時には、ぜひマーケティングを思い出してみたらいかがでしょうか。

きっと新しい道筋が見えてくるものと思います。


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2017.02.04

DMOとDMCの違いについて

日本版DMO(デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション)が各地に誕生しています。
訪日外国人4000万人時代を迎える原動力になることを期待したいですね。

ところで似たような3文字英語に「DMC」=デスティネーション・マネジメント・カンパニーという言葉があります。
この2つの混同ぶりが、さいきんちょっと大きくなってきたと感じることが多いので、今日はそのことについて書いてみます。


例えば、ウェブを検索するとこんな表現がヒットします。

>DMOがMarketing(マーケティング)が主軸なのにたいして、DMCはManagement(マネジメント)が中心

また日本政策投資銀行が2013年に発行したレポートには、以下のような記載があります。

(注)DMOとは
DMOは、Destination Management/Marketing Organizationの略語であり、当レポートでは、Destination Management Organizationを指すこととする。DMOはいわば「観光ビジネス活動体」であり、我が国においては、DMOよりDMC(Destination Management Company)という用語が利用されることの方が一般的である。JTBグループはDMCの定義について「地域の知恵、専門性、資源を所有し、イベント・アクティビティー・輸送・運送計画のデザイン・提案に特化したプロフェッショナルなサービスを提供する企業」としており、欧州におけるDMO
(Destination Management Organization)と概ね同義で使用されるケースが多い。


「地域のビジネスとして発展するインバウンド観光」より
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/etc/pdf/book1303_01.pdf


少し古い資料ですが、信頼できる機関のレポートの記述は重要です。
しかし個人的にはこの記述がその後の誤解を招いている原因の一つではないかと感じています。
つまり、JTBが定義するDMCと欧州のDMOがおおむね同義で使用される、というところです。

ここで紹介されているJTBの定義は、後でご紹介するDMCそのものです。
地域の様々な素材、サービスを組み合わせて手配をし、それをツアーオペレーターや顧客に届ける役割です。

ただ、今後JTBがそのDMCの解釈を拡大し、DMOのように発展していくかどうか、ということは別の話です。


話がややこしくなるので、ここでは定義のことに絞りましょう。

DMCの定義を、観光研究者の間で定番となっている観光辞典「Encyclopedia of Tourism」(2000年第1版)でみてみましょう。


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