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2016.03.20

新・観光立国論

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
で主張されていることは、シンプルにいえば、経済効果が生まれるような、そして雇用が創出されるように、観光をちゃんとやりましょう、ということのように感じます。


その主張自体は決して新しいことではありません。観光が雇用創出につながる重要な産業である、という認識は、観光研究、あるいは観光政策上も基本中の基本です。


しかし日本では高度経済成長期を経て、観光が急激に大衆化したため、誘客にそれほど努力しなくても観光客が来ていた時代を経たこともあり、観光のマーケティング力が開発されて定着しませんでした。
そういったことも要因の一つとして、観光客の激減に悩む今、観光地をどう宣伝するのか、そこでどのような商売をし、商品、サービスを提供するのか、といったいわゆる観光マーケティングのノウハウがいまだに弱いのです。

アトキンソン氏が、外国人観光客をたくさん呼んで、お金を落としてもらったらいい、とダイレクトに主張することに、観光産業、観光政策の関係者はいい意味でもっと便乗して、いい商品、いいサービスを提供する機会につなげていることが大事です。


そのためDMOへの期待も大きくなります。

しかしDMOという組織を作っても、そこに観光マーケティングのノウハウがなければ、そのノウハウを持った人材がいなければ、結局いままでの「観光協会」とあまり変わりません。


そこでその人材輩出に期待がかかるのが、今や全国にある観光を学べる大学です。
試しに観光を学べる大学・短大をリクナビ進学で検索すると195もヒットします。

5年~10年でDMOが整備されれば彼らの活躍場所もできます。DMOによって、訪日外国人客の増加を背景に、今後、日本の観光シーンはこれまでとまったくちがったものになる潜在力をもっているでしょう。

その実現に向けて、観光系の大学・短大の先生には、観光、そして日本の将来を担う人材を輩出するような教育をしていただきたいとおもいます。


もちろん未来は待ってくれません。今できることを、今いるプレイヤーでやっていかなければなりません。


今まさにDMOを、具体的に推進していかなければなりませんね。

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2016.03.12

日本版DMO候補法人は「候補」なのですね

先日(2016年2月26日)観光庁からついに日本版DMOが発表になりました。

http://www.mlit.go.jp/common/001121023.pdf

と思っていたのですが、このブログを書くために報道資料をよく読んでみましたら、
日本版DMOではなく、日本版DMOの「候補となりうる」法人が登録された、
ということなのですね。


観光庁が創設した制度は、日本版DMOを登録する制度ではなく、
日本版DMOの候補となりうる法人を登録する制度とのことです。


候補となりうる、ということは、候補となるかもしれないよ、
でも今はまだ候補になっていないよ、ということです。
まだこの先に、正式なDMOの登録みたいなことがあるのかどうかは、ちょっとわかりません。


登録の際には一定の審査もあるようですが、審査されてもなお候補としても
正式に登録されず、候補となれるかもしれませんよ、という法人が登録された、
と、ややこしいですが、そういうことのようです。

DMOの機能は厳密に言えば組織ごとに違うでしょう。ただ、シンプルに言えば、観光は地域の経済的、雇用創出に貢献することを認めたうえで、観光を国、あるいは一定の地域の政策目標として設定し、地域の事業者と連携しながら、観光客を国・地域に呼び込むためのマーケティング活動と受け入れ整備をする組織のことです。

さらに現代的課題として、地球温暖化や環境保護に配慮して、現在の旅行者の
ニーズを満たしつつ、未来の世代まで観光地の価値を失わないような取り組みも
DMOには求められます。
例えば、観光客が来すぎたばかりに自然が破壊され、観光地としての魅力自体が
なくなってしまったら、それ以降、観光という政策目標が実現できなくなるため、
そうならないように配慮した観光地にする、そのために適切に観光地を
管理する、ということです。


DMOが役割を果たすためには、実は地域の事業者と連携して、というところがポイントだとおもいます。


観光という政策目標を実現する、ということは、国内外の観光客が適切にその観光地を
訪問する、という状態を持続的に実現する、ということです。
これは簡単のようでそれほど簡単ではありません。


観光、というのは、地域側=デスティネーション側だけで実現できるものではありません。
観光は地理的にも時間的にも広がりを持ち、消費者が旅行をするまでに、
様々な事業者から様々なサービスを受けることになるため、それらの関係者がそろい、
十分な量と質のサービスを提供し、同時期に機能している必要があります。
それは「システム」のようなものです。しかも金も人も情報も出入り自由なオープンシステムです。

つまり、観光の実現とは、このようなシステムを創出し、維持拡大することです。
その推進役をDMOが担うのです。

しかしDMOがすべてそのノウハウを開発し持ちうることは容易ではありません。


そのため、現在は観光は大学でも活発に研究され、応用されています。
観光という社会現象の研究(基礎研究)、観光事業のマネジメントの研究、
デスティネーションマネジメントの研究など、その分野もかなり幅広いです。

観光研究では事業とのつながりも重視されます。

観光の学部・学科が、実際にホテルやレストランを経営、運営するところも多くあります。

、、、、というのは欧州での話。


残念ながら日本はこれからです。もちろん日本の大学にも「観光」を研究し学べるところは増えてきました。しかし、観光学術界が地域の観光の発展に役に立っているという社会的な認識がどの程度もたれていることでしょうか。


最近ある観光系の雑誌の記事で、日本の観光研究のレベルは世界にひけをとらない、という発言されていました。まあ、一部分野によってはそうなのかもしれませんが、ちょっとびっくりです。観光の研究者自らがそういう感覚なのですね。


ーーー
日本版DMO候補法人には、熱意を持った方も多いと聞きます。
訪日旅行市場拡大の中で、これからは、観光地は好むと好まざると、世界の観光地との競争になります。
観光地として選ばれるために何をすべきか、どのようにして雇用創出につなげ地域の発展に貢献していくのか。
DMOへの期待は大きいですが、同時に負う責任は重いです。


今回の観光庁の登録が、日本の観光の新しい潮流をつくるきっかけとなるといいですね。

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