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2011.07.31

着地型観光を生成・維持・創発するシステム

前回、

 発地との関係性を持たない着地型観光は
 観光システムを成立させず、つまり客はこない

と指摘しました。
 
着地型観光を機能させるシステム


では、関係性をどのように構築するのか。

ここで大事なのは、

 関係性とは何か

を明確に、誤解なく、理解することです。


発地との関係性、というと、まず流通構造のことを
思い浮かべてしまうことがあります。
その結果、やはり旅行商品を作ることが大事なんだ、
という理屈になってしまうことがあります。

これでは議論が振り出しに戻ってしまいますね。


もちろん流通構造は、関係性のひとつではあります。
しかし、発地と着地の関係性はそれだけではありません。
いくつかの種類が見られます。


ポイントは、旅行者の視点、です。

ところで私たちは、旅行先としていつも同じところを選ぶでしょうか。

毎年夏は、家族旅行で、同じペンションにお世話になるよ、
ということはあるでしょう。
しかし、その人が、今度は女性の友達同士で旅行に行くとなると、
おそらく違うところに行くでしょう。あるいは夫婦だけならまた違うところに
行くでしょう。
そう、実は旅行のマーケティングにおいて、「リピーター」をターゲットと
することは、その利用頻度から見れば、非常に効率が悪いのです。

つねに同じ旅行先を選ぶ旅行者という、ターゲット像は非常に想像しにくい。


そのような旅行者を想定したとき、さて、その関係性をどのように創造し
維持すればいいのか。

どうやら観光地と旅行者とのつながりにはいくつか種類がありそうです。

その整理は後日にするとして、
ここでは、関係性は、かならずしも一般的に言うところの「リピーターを作る」、
ということだけではない、とお伝えしたいと思います。
もちろん、リピーターをとるな、ということではありません。
ポイントは、リピーターにもいろいろと
種類がある、ということです。

具体例を挙げましょう。

毎年夏には、中学校の林間学校として体験型旅行の受入を
行う。毎年同じ中学校がきてくれる。

大消費地から近いある観光地は、家族連れをターゲットに
四季おりおりの体験型メニューを用意して、一年に
何度もきてもらう。

地方中核都市に近い温泉地では、その立地を生かして地元の
人たちによく利用してもらう。


・近い人に高頻度、
・遠距離だけれども1年に一度必ず来てもらう


リピーターにもいくつかのパタンが見えそうです。

どのような「リピーター」を狙うのか、
ぜひ分析してみたらいかがでしょうか。

リピーターのセグメンテーション
は、事業を安定させる第一歩となるでしょう。

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2011.07.16

お勧め本:発展途上世界の観光と開発

ひさしぶりに、本格的な観光研究の本が発刊されました。

発展途上世界の観光と開発
D.J.テルファー、R.シャープリー
古今書院


残念ながら日本人研究者の著作ではなく、カナダの大学の先生の著作の
訳本です。

発展途上国における観光開発の役割、課題を網羅的に扱っています。
参考文献も多く、持続可能な観光を学ぶ教科書として良書です。
訳本で348ページとずっしり分量があります。


日本では、一般的には観光が発展途上国の開発に応用されている
ということはあまり知られていませんが、観光成熟国、観光研究の
盛んな欧米では、非常に活発な分野です。

もちろん、途上国自体においても、持続可能な観光の研究は
すすんでおり、先日は突然スリランカの大学院生から持続可能な観光に
関わる研究についての相談のメールが来たりしました。

主な目次は以下のとおりです。
 第1章 序説:発展途上諸国における観光
 第2章 観光と持続可能な開発
 第3章 グローバル化と観光
 第4章 観光の企画と開発の過程
 第5章 地域社会の観光に対する反応
 第6章 観光の消費
 第7章 観光の影響評価
 第8章 結論:観光開発のディレンマ

将来、観光の国際分野で活躍したい、と考えている方には
重要な一冊となるでしょう。
日本がかかえている観光の課題と随分違うことがわかります。
もちろんその原理を理解することは日本の観光にもつながります。


ただ、訳文があまりこなれていないのが残念。
訳者のひとりの他の本もそうだったのですが、
直訳風の文章が多いのです。


また観光の専門家でいらっしゃらないためか、迷訳?がところどころに
みられます。


観光を創出する地域(出発地のこと?)
パック休暇(パッケージ旅行商品のこと?)
低料金航空(LCC?格安航空会社のこと?)
観光生産物(観光商品のこと?)


言い出したらきりがないですが、「マーケティング」を
いまどき「マーケッティング」と訳したりもしています。。。

さらに老舗の古今書院にはめずらしく、
誤字脱字が結構見られるのも残念。


ーー
これらにも耐えながらも、内容は素晴らしいのでお勧め!


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