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2011.03.08

観光社会学にできること

観光、というのはきわめて身近なものです。

それを学問的に研究するためには、もちろん学問的手続きが
必要です。

しかし学問的手続きにより、研究対象を完全に客観視できるか、
というと、それはこれまでいろいろな議論がありました。
ましてや現象を斜に構えて「学者風」に論評する姿勢は、
きわめてこっけいでもあります。


観光社会学、という分野があります。
観光現象を対象とした社会学、ということですが、
これまた観光の他の分野と同様に、海外では多くの学問的積み重ねが
ありますが、日本のものはいまひとつすっきりした解釈をしめしたものが
ありません。(私に知識が足りないだけかもしれませんが)


一体、社会学とはなんなのだろう、という疑問を抱いていたところ
以下の本に出会いました。

社会学にできること
西研/菅野仁 ちくまプリマー新書

その中に

社会を外から評論したりすることが自己目的となっている
社会学的オタク

という表現がありました。(P34)


私が一部の観光社会学に抱いていた違和感は
まさしくそんな感じだなあ、と思ったのです。


観光を外から評論したりすることが自己目的となっている
観光社会学的オタク


なんとなく観光のオーセンティシティ論から抜け出せないで
いるように見える(一部の)観光社会学者は、彼らもまた
フィールドにでれば、地域から見れば「客」にしか過ぎないけれど、
彼らが本当の意味の「観光客」かどうかを問うことは、
どれほど観光の現象の解釈に意味を持つのでしょう。


先の著者の一人、菅野仁はこういっています(p10)


その学問が必要とされた由縁を知ることは、
その学問の本質的性格をとらえる際にとても重要に
なると考えられるからです。


観光社会学がなぜ現代に必要なのか。

それを問う試みが引続き必要ではないでしょうか。

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2011.03.06

観光イノベーションとは

観光研究の中には、
観光イノベーション、あるいはツーリズムイノベーション、という分野があります。


広義では、観光におけるイノベーション、という意味で、観光の意味自体が広いので、
観光産業のイノベーション、観光地におけるイノベーションなどいろいろなものを包含します。

狭義では、観光産業におけるサービス業としての生産性向上をさすことがあります。


OECDはすでに2003年の会議で観光とイノベーションをテーマにとりあげ、
2006年に、そのレポート

観光におけるイノベーションと成長

を出版しています。
以下の4つのパートと10章から構成される論文集です。


パート1 イノベーション志向の観光政策に向けて
パート2 観光におけるイノベーションプロセスの特徴
パート3 観光におけるイノベーションの定型化
パート4 観光におけるイノベーションを強化するイニシアチブ


内容としては網羅的で研究のフレームワークが示されており、
しかし、研究分野としてまだ成熟しているものではないので、
それほど研究の質として深いものではありませんが、
観光におけるイノベーション研究がこれから始まるのだ、
という意思のようなものを感じます。


日本では誰もが観光に出かけられるようになり、
これからは交流人口の増加が地域活性化を担うものとしても注目を
されていますが、まだ期待感のほうが大きく、実際にどれほど貢献
しているかといえば、これから、といった感じがします。

時代とともに観光のあり方も変わっていく必要があるのですが、
観光のシステムがあまり変わっておらず、生産性、収益性、競争力などを
創造的に生み出せていないせいだと思います。
観光政策、観光産業それぞれにイノベーションが求められている理由はここにあります。


私の博士論文のテーマが「観光イノベーション」なのですが、
鋭意執筆中状態がつづきます。。。。

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2011.03.05

日本よりはるかに進む中国の観光研究 持続可能な観光

観光研究の一分野である「持続可能な観光」をテーマとした学術誌に

「Journal of Sustainable Tourism」
http://www.tandf.co.uk/journals/rsus

という雑誌があります。

編集者はイギリスの観光学者ブランウェルと、かの有名なバーナード・レーン、
そして、文献レビューの編集者は、これもまた有名なマイケル・ホールです。
(バーナードレーン先生には昨年お目にかかりましたが、とても気さくな方でした)

その雑誌のアブストラクトに、今年からなんと中国語が掲載されるようになったのです。
インターネット版だけではあるのですが、しかしこのような有名な雑誌のアブストラクトに、
フランス語でもなく、スペイン語でもなく、そして日本語でもなく中国語が掲載される、
ということに、衝撃を感じるとともに、おそらく、中国における観光研究者がそれだけ
多く、読者が見込める、ということかと思われます。


中国には

中国旅游研究院
http://eng.ctaweb.org/

という、観光分野に特化した政府系シンクタンクがあります。
観光研究で有名なジャファリ先生も委員として参加しているようです。


私は、国の機関として「観光研究イノベーションセンター」をつくることを妄想しています。
観光が本当の意味での国や地域の柱となるためには、基礎と応用が融合した
シンクタンクが必要ではないでしょうか。

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