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2011.02.27

お勧め本 紀元二千六百年 消費と観光のナショナリズム

新しい本を見て、一応、観光研究をしているはしくれとして、
やられた! と悔しい思いをするほど、すばらしい書籍に出会うことが
時々あります。

新聞の書評を見て、いやな?予感がしたのですが、
はたして、本が手元に届くやいやな、ずっしり重い感じは
四六判で330ページという物理的なモノだけでなく、
その内容のすごさの予感だったから。


紀元二千六百年 消費と観光のナショナリズム (朝日選書)
ケネス・ルオフ (著), 木村剛久 (翻訳)



著者は英語圏における現代天皇制研究の第一人者
ということで、「国民の天皇」は大仏次郎賞を受賞しています。


戦時中は、不要不急の旅行はやめよう、というスローガンの中、国民はあまり
旅行をしていなかったと広く思われていますが、
実は多くの日本人が、アジア太平洋戦争中も
いつもどおり暮らしていた、とのことで、1940年に日本人は
何百万人もが日本全国を旅し、何十万人もが旅順などの外地を訪れていたそうです。

日本人の「観光観」を考察するのに
貴重な一冊です。

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2011.02.22

お勧め! 観光の思想と理論

日本における観光研究は、一部の分野を除いて、学問としての蓄積の無さが欠点ではないかと、
つねづね感じています。いまだにそれは十分に解決されていません。

たとえば、これだけ訪日旅行が注目され、いかにして外国人客を
獲得するか、ということが、国や地方自治体、あるいは企業により
懸命に模索されているのにもかかわらず、
インバウンド旅行への取り組み方は、日本の観光研究者からは
ほとんど何も提示されていないのです。

観光研究の他の分野についても、諸外国では
着実に研究成果が積み重ねられていますが、
しかし、それを簡単に知る方法は今までありませんでした。

その意味では、非常に価値のある本だといえるでしょう。

観光の思想と理論
大橋昭一
文眞堂



この本は、観光・ツーリズムに関する主な研究理論を、
かなり網羅的に紹介しています。

ただし、かなり駆け足であることは否めません。
外国においてはすでに膨大にある観光研究を
256ページで紹介すること自体に無理があります。

それを差し引いても今までに無かった労作であることには
変わりません。

観光を研究する人にとっては初期の段階で、一通りこの著書で
観光研究の概略を学習することをお勧めします。

しかし、より興味を持ったところについて、
必ずしも和書はまだなく、原著の論文や著書に当たるしかありません。


いずれにしても、ここまでまとめた労力に対して
著者には感謝をしたいと思います。

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