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2003.09.28

観光の経済的効果

観光にはいくつかの側面がありますが、その経済的な効果もよくいわれているところです。
観光による消費額はよく算出されています。

しかし、そもそも経済的な効果とは何なのでしょう。観光地において消費活動がなされる、ということは明確です。しかし、消費活動が行われることが、イコール価値のあることであるか、というと、どうも現代においては必ずしもイコールではないのではないか。経済的な活動の結果、多分に負の側面を生じさせていていることが問題視されるようになったからです。

もちろん、消費により地域経済が潤うこと自体は否定するものではありません。しかし、その消費による効果と、観光が引きこす負の経済効果の収支バランスがどのようになっているのか、ということは、ほとんど算出されていません。
諸外国の観光研究では、環境経済学の考え方を援用してそのような試みが一部でされています。
観光が必ずしも手放しですべての人に喜ばれているわけではない、という事実に対してはきっちり受け止めなくてはならないと考えています。

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2003.09.26

観光人類学

文化人類学の一分野に観光人類学、という分野があります。この分野では第三世界における観光が、ある面で先進諸国による植民地的略奪という構図を持っている、という指摘がなされています。たとえば経済的発展の手段として、その自然を売るしかない、という国があり、その場合、観光という手段がとられる。観光を価値とするのは先進国の論理であるが、開発が外資によりなされる場合、経済的にはかならずしも還元されない場合がある。

あるいは、地域文化が観光の対象となったとき、その価値は先進国から見た価値であって、かならずしも地域文化の価値を見出していない、など。

観光は負の面を持っていることは事実です。それを無視して観光開発を進めることはできません。
ではなぜ観光という現象が起こっているのか、ゲスト側の論理、ホスト側の論理を深く洞察することが重要だということを観光人類学は提起しているように思います。

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2003.09.18

マスツーリズム批判

観光を支えるものの一つには、観光施設もあります。入場料を取って収益とするビジネスです。
これは一人でも多くの人に入ってもらうことにより成り立つビジネスです。博物館、美術館、お城などもそうですね。
これらは観光客に多くの知識を与えてくれるとても価値のあるものです。
マスツーリズムを表面的に否定してしまうと、これらの価値も切り捨ててしまうことになります。
では、マスツーリズムも大切なのか。
ここから先の議論が大事になってきます。

マスを対象とした観光施設とはいえ、観光客の一人一人が満足できるかどうか、価値を与えることができるサービスを提供しているかどうかは、シビアに問われます。こんなもんでいいだろう、的な展示では、すぐに評判を落とします。個々人の興味を深く満たすもの、そういう視点で見ると、やはり装置産業といえども、均一なマスを対象としたものでは成り立たなくなってしまうということです。

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2003.09.17

観光のお土産

マスマーケットを対象としたシステムとして、おみやげ物やの例もあげることができます。

おみやげ物というとみなさんは、どんなものを想像されますか。
気の利いた民芸品でしょうか、それともどこにでもあるような饅頭やせんべいでしょうか。
みやげ物の流通経路というのは、意外に知られていません。

しかしビジネスに興味のあるかたなら、土産の在庫回転率はずいぶん長そうだ、ということを想像されるのではないでしょうか。
饅頭やせんべいの多くは数ヶ月は日持ちするものです。そしてそれらは、特定の地域で作られているものです。
あまり魅力的であるとはいえないこれらのお土産は、いまだにマスマーケットを対象としたものであるといえます。

地域によっては有名な饅頭もありますし、そこでしかつくっていないものもありますし、そういったところはビジネスの規模は小さいながらも成功している事例といえるでしょう。
土産やビジネスは、ビジネスのサイズが重要なのではないかと思います。


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2003.09.15

観光地のシステムチェンジ

観光の消費動向をマクロに見れば、観光地はこれまでマス消費を対象として、サービスや経済システムが構築されてきました。

しかし消費動向の変化により、個人旅行者の多様な価値観に対応することが要求されるようになっています。これは観光に限ったことではありませんが、観光は、そのシステムの切り替えをなかなかできないでいるように思えます。

たとえば、旅館。旅館の経営指標のひとつに、「宿泊稼働率」があります。これは部屋の定員×部屋数を母数として、泊まった人数を分子としたものです。
問題なのは、部屋の定員数を8畳から10畳で4名から5名としているところです。つまり団体旅行での部屋の割り振りを前提としています。家族旅行なら4名一部屋、ということはありますが、おとなが4名も5名も一部屋で寝るということは、あまりないでしょう。
そのためこの指標をつかって損益分岐を計算しても、なかなか収支が改善せず、同時に、団体をターゲットとする発想をかえることもなかなかしずらくなってしまいます。

観光におけるシステムチェンジが求められる場面はこのほかにもいくつかあります。

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2003.09.13

流行る観光地、流行らない観光地

流行っている観光地と流行らない観光地はいったいなにがちがうのでしょうか。この素朴な疑問に、意外に観光研究は学問として答えていないような気がします。

それに答えるには、まず流行っているとは、どういう状態のことか、ということを定義しなくてはなりません。
年間100万人をめざすのか、5万人でも流行っている、というのか。100万人きても、地元の経済が潤っているのか、地域住民は喜んでいるのか。継続的に観光客がきているのか、などいくつか切り口はありそうです。
私の研究分野からすると、複雑系か、あるいはマーケティングの立場から見ることになりますが、体系だてて説明しなければならないと考えています。

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2003.09.09

価値観の多様性

現代社会においては、価値観が多様化している、といわれます。マーケティング戦略においては、ターゲットセグメンテーションをより高度化することが求められ、提供する商品は、多品種少量生産になり、利益と効率化のバランスが難しくなってきているといわれています。

しかし観光マーケティングにとっては、ある意味追い風にもなります。それは、どんな観光地にも、価値観が多様化した結果、ある価値を見出すチャンスが生まれる可能性があるからです。

そもそも「観光価値」というのは、時代と共に変わってきているのも事実です。
スイスのアルプスは現在は大きな観光地でしたが、数百年前は、観光の対象とはなっていなかったそうです。

共時的な観光価値と、通時的な観光価値、というものがあるのかもしれません。

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2003.09.04

二つのタイプ

会社において、新しいことをしなくてはならないとき、人がどういう反応を示すか観察していると、2つのタイプがあることがわかります。
ひとつは、そんなのやりたくない、私の仕事ではない、というタイプ。もうひとつは、それをどうやったらうまくいくかを考え、喜んで引き受けるタイプ。
もちろん大変なのは前者です。
しかし新しいことを進めるときにはかならず前者のタイプは一定程度いることは確実です。
つまり、新しいことを進めるためには、文句を言う人がいる、ということをあらかじめ織り込んでおく必要がある、ということです。これはこのように考えてみればすぐにわかることなのですが、つい忘れがちで、そうすると、新しいことがなぜすすまないのだろう、と真剣に悩んでしまうことになります。
これでは政策はすすまない。どのようなことが想定されるのか、イマジネーションが求められるところです。

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2003.09.03

観光学

観光という現象を研究するとき、その入り口で、「観光学」ということばにかならずつきあたります。
では、観光学、という学問体系があるのかと思い勉強を進めていくと、それが学際的interdisciplinaryであることがわかります。つまり観光現象に対する統一されたアプローチ手法はありません。
では、観光は学問にはなりえないのかというと、観光地理学や観光人類学などにおいてはいくつかの学説が定番となっています。

このへんに、「観光学者」のきなくささが感じられてしまうことが、観光研究をしているものとしてはちょっと不利なのではないかとおもっています。
科学哲学では、「反証主義」といわれます。反証できない理論は科学的理論ではない、というものです。ポパーというひとが提唱しています。観光学をこの鏡に照らしたとき、どれほどの謙虚さをもちえるか。
今再度議論されてもいいような気がしています。
観光という現象の前で、もっと科学者として謙虚にならなくてはならないのではないかと、自己反省を含めて思います。

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2003.09.02

観光の創発

およそどんな観光地でも活性化は可能だ、というのが観光の創発理論なのですが、もうすこし厳密に言えば、活性化するポテンシャルをすべてのまちが持っている、という意味であり、実際に活性化するためには、もちろん変容を伴います。

創発理論が前に進んだ大きな理由のひとつに、「観光資源」についての解釈があります。
過去、観光産業では、A級の観光資源、というようないいかたで、観光地をランク付けしてきました。それがマスツーリズムを生み出す温床になってきたのではないか、というのが私の仮説です。結果、同じような観光行動を誘発するとともに、観光地側にとっても、同一の価値観で図られてしまう、という不幸なことになりました。

現在、消費者が情報をたくさん持ち、価値観が多様化すると、もともとはそれぞれが違った特徴を持っている地域にとっては、有利に働くはずです。つまり、ニッチなニーズを満たす観光地も、成功する規模が必ずありうるということなのです。

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